ーーピンポーンッ

花占いは、念が通した。

マンションのエントランスは、たまたま出掛ける人とすれ違い、中に入れてしまった。

そして玄関前。

緊張しながらも、ドアを開くのを待つ。

ーーガチャッ

武井さんはスエットの下だけを穿き、上半身は裸のままだった。



「…お前の忘れ物ならねぇよ」



冷たい声。

ヤり逃げだと思われてると、直感した。



「忘れ物は…、確かにしてないで
す。けど…チャンスを貰いたくて、戻って来ました」



肌寒い季節。

彼は「中で聞く」と、ドアを大きく開けた。

「お邪魔します」と、改めて挨拶してリビングに向かった。