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バッ!!!

‥‥‥。あれ?
ふとん?

夏恋はふとんの上にいた。

「あ!気づいたか?ここはどこだって顔してる」

「ここ俺んち。」

夏恋の頭の中は真っ白。

「お前、駅で倒れてたじゃねーかよ!覚えてないのか?」

覚えて‥‥る。しっかり覚えてる。

「で、助けてって言われたから連れてくとこ自分の家しかないし‥」

「家まで運んできたってわけ!」

ああ。覚えてるよ。

「覚えてるよな?てか、なんで倒れてたんだ?」

「二日酔い」

馬鹿らしい。自分馬鹿みたい。絶対笑われるから。

「うお!初めて喋った!」

そっちですか?二日酔いを馬鹿みたいって思わないんですか?

「てか、二日酔いって!バカだなあ!」

ああ。あたしは確信した。こいつは馬鹿だと‥

「まあ、しゃーないさ。」

笑わないんだ。こんな惨めなあたしを見て笑わないんだ。

「んで、お前家に帰らなくて大丈夫なのか?」

あたし?家‥‥ああ。

さっきの夢をふっと思い出す。

お母さんが引かれて、あたしは3歳で悲しみのどん底に落ちた。

お父さんなんて、他の女と遊びまくって、
お母さんなんてどーでもいいみたいな顔して、

あたしは、ずっと独りで悲しみのどん底にいた。

家に帰ったって誰もいない。

たまにお父さんの遊び相手の女がちらほらいるだけ

でも辛かった。独りでずっとずっとずっとずっとずっ‥‥‥と‥‥

「ずっと‥‥ずっ‥‥と‥」

あたしは小さい頃の記憶を探っていたら涙がでてきた。

お母さんが生きてたら‥‥生きてたら‥‥こんなことにならなかった。

「!!‥‥おい?泣いてんのか?」

うん。泣いてる。

「え?いや!どうした?気持ち悪いか?」

「俺んち怖いか?俺いろいろ聞きすぎたか?」

違うよ。違う。あたしが勝手に泣いてるだけだよ。

「あたしが‥‥いけない‥か‥‥ら」

「ん?そうなのか?まあ、なんかあったんだろ?聞いてやるよ」

聞いてくれるんだ。優しいね。でも言わないよ。

あたしは首を横に振った。

「喋りたくないなら、いいけど‥‥」