「妃菜ちゃん……」
「……あたしなぁ、ずっと怖かったんや」
「え??」
「……兄ちゃんを失った悲しみを忘れるコトはなかったし、ずっと頭から離れるコトはなかったんや」
「…………」
「……兄ちゃんはあたしのたったひとりの家族やったから、死んだって聞いて最初は受け入れられんかったんや。それはわかるやろ??」
「うん……」
「……兄ちゃんが死んだ時、あたしは兄ちゃんを殺したアイツが憎かったんや。殺したいくらい憎かったんや」
「…………」
「……その時からあたしは、アイツが許せなかったんや。兄ちゃんを殺したくせにのうのうと生きてるアイツが、許せなかったんや」