〜妃菜side〜



「桐沢!!」

「……なんや」

「絶対くるみを助けろ」

「……わかった」



電話を切ったあたしは、急いで"あの場所"まで走った。

……あの場所は、死ぬまで絶対に忘れん場所や。



あの場所は、兄ちゃんが目の前で死んだ場所。

アイツが兄ちゃんを殺した場所なんや。



……だから絶対あたしは、アイツを許さん。

アイツだけは、絶対に。



兄ちゃんを殺したくせに、今度はくるみまで拉致したんや。

そんなの絶対、許せるわけがないんや。



「……待ってろくるみ」

アンタはあたしが助けたるからな。