「……あたしはな、ケンカは誰にも負けたコトがないんや。どれだけ強いヤンキーでも、あたしからしたらみんなクズや。相手にもならん」
「…………」
ゆっくり立ち上がって机に座り、関西弁女を見つめる。
殴られた頬がジンジンと痛みを増す。
「……あたしはケンカだけは誰にも負けんと思うとった。でも上には上がいるってコトをあの時はじめて実感したんや」
「あの時??」
「……兄ちゃんが死んだ時や。いくらあたしでも、アイツには敵わんってコトを実感した。……その時はじめて、自分の無力さに気づいた」
「…………」
「……アイツに手も足もでんかった時、情けないと思うた」