「……笑ってたか」

つくづくサイテーだな。



「妃菜ちゃんはその場から動けなかった。ただ泣くコトしかできなくて、兄ちゃん兄ちゃんって呼びかけるコトもままならなかったって言ってた」

「……兄ちゃんを目の前で亡くしたんだ。そりゃ自分を憎むのも当たり前だな」



オレがアイツと同じ立場でも、きっとなにもできなかったと思う。

きっとアイツと同じで、なにもできなかったハズだ。



「……妃菜ちゃんが荒れはじめたのは、施設で暮らしはじめた時からだった。毎日ケンカばっかりして帰ってきて、みんなに心配ばっかりかけてた。もともと施設で暮らすつもりはなかったみたいだけど」