「…葵君?!」
あまりにも急な出来事に思考がついていかない。
「ごめんな?怖かったやろ?」
そう言いながら葵君はうちに回した腕により、力を込めた。
葵君は後輩って言っても
やっぱり男の子。
筋肉質な腕
硬い胸板…
こんなにもドキドキするなんてね…
うちも女の子なところはあるんだなぁとか今更実感。
そんなことを考えながら
大人しく腕の中に収まっていると
ーーーガバッ
急に両肩を掴まれて少し離されたかと思うと
「大人しいな、蘭ちゃん?」
ニヤリ、色気を含んだ顔の葵君が
うちの顔を覗き込んだ。
もう、うちの頭の中はパニック状態。
目を合わせると
葵君の色っぽい瞳に吸い込まれそうで…
「…大人しくない…。」
プイッと顔をそらした。
「蘭ちゃん、それ分かってやってんの?」
「へっ?」
葵君はうちの顎をクイッと上げると
「無理やりでもこっち向かせたくなっちゃうじゃん。」