うちは徒歩通学なのだが

葵君は自転車通学…。


葵君は自分の自転車にまたがっているのだが
一向に出発しようとしない。


荷物は葵君のカゴに乗せてもらっている。
後はうちが走るだけなんだかど…。



「あの…なんで出発しないの?」


すると葵君は口をポカァーンと開けて


「えっ?乗らへんの?」

「乗るってなにに?」


自転車は一台しかないんだし
葵君しか乗れないじゃん。

そう言うと


「蘭ちゃん…。蘭ちゃんって天然なんやね。ここに乗って?」


そう言いながら
自分の後ろの荷台をポンポンッと叩く葵君。


そこに乗るっていうのは…まさか…


「二人乗りってやつですか…?」

「そうそう!知ってるんじゃんか。」



えぇーっ!?
あのドラマとか漫画に出てくるような

男の子と女の子が二人乗りして
ラブラブで帰るようなことを

今、葵君としようとしてるの?!


って、それ以前に



「…うち重いから却下。」

葵君に漕いでもらうんだからね。
うちが乗ったら絶対進まないもん。


「大丈夫って!蘭ちゃん華奢やし。しかも、俺かて男や!女の子くらい乗せれるわっ!」


そう言って、はやくはやく~と急かす
葵君に負けて

うちは葵君の後ろにまたがった。