靴箱で靴を履き替えようとした時
外に誰かの気配を感じた。
委員会で一番遅かったのはうちと秀。
秀も帰った今、
校舎内にいる生徒はうちだけのはず…。
ガラス戸に写った黒い影が
動いている。
ーーー怖い。
反射的にそう思った。
だが、まわりには誰も居ない。
すぐに逃げれるように荷物をからい
恐る恐るガラス戸から覗いてみると
「葵君?!」
「蘭ちゃんおつかれさん!」
壁にもたれかかっている葵君が居た。
「なんで葵君が居るの?帰ってていいって言ったのに…。」
「だって蘭ちゃん遅くなる言ってたじゃん?女の子をこんな暗いなか一人で歩かせる訳にはいかないよ~。」
ーーうちを待っててくれたってこと?
心臓が激しく脈を打つ。
なんでだろう?
なんで心臓うるさくなるの…?
そんな気持ちとは裏腹に
よりスピードをまして脈を打つ心臓。
「さっ。蘭ちゃん一緒帰ろう!」
ニコッとした笑顔でうちの方を振り返る葵君。
その笑顔でホッとしたのか
今は葵君が待っててくれたってことが
素直に嬉しくて…。
少し先を歩いている葵君を
小走りで追いかけた。