「な・・・にやってるの?」

 急に声をかけられて、左手を隠すようにトイレの入り口がある右側を向いた。そこには、声の主の歩が立っていた。

「歩・・・。」

「ねぇ、今何隠したの?」

「え?」

「見せて。」

 そう言いながら歩は近寄ってきた。

「やめて。」

 左手を隠し、後ずさりをした。

「いいから。見せて。」

 隠した左手を、歩は無理矢理引っ張った。