この手を振り払い、「やめて」と一言言いたかった。「私は悪いことしていない」と啖呵を切りたかった。 でも何も言えなかった。ただ私は姫佳から視線を外すことしか出来なかった。 「わかった?」 姫佳は冷たく低い声で、私に言った。無言で小さく頷くと、手を離し、何もなかったように座った。 そして私は逃げるように教室を出た。