昨日の頬の傷を触りながら、姫佳は笑った。細く白い手が、指が、凶器のようだった。

「ムカついたのは久しぶり。」

 そう言った瞬間、頬を摘んだ。

「痛いっ。」

「ごみ箱、この傷よく似合ってるよ。増やしたくないなら近寄らないで。」

 眉間にシワを寄せ、鋭い目付きで私を睨む姫佳は「ムカつくよねぇ」と冗談のように言う姫佳とは別人のような顔だった。