どうしてあんな些細なことで、たったあれだけのことで……。

 そう思いながら手当てをしてもらった頬を、手で撫でる。

「学校行くの嫌だな……」

 言い返す勇気も、やり返す度胸も、全てなくした私には明日からどうすればいいかなんて、考えたって仕方がなかった。

 仮病なんて使えるのは一週間くらい。それに休んだって行きにくくなるだけ。

 結局私には学校に行って、いじめられる選択肢しかなかった。