「あっれーっ、朱莉(アカリ)何やってるの?」

 私に気付いた姫佳が、歩と久美と共に寄ってきた。

「うわっ、村上と喋ってたの?」

 眉間にシワを寄せ、目を細め、明らかに嫌な顔をする姫佳。

「え?うん。プリント集めてたから。ね?村上さん」

 そう言って村上さんを見ると、目線を下げ、何も反応しなかった。

「ふーん。何持ってるの?消しカス?」

「あぁ、今机に散乱してたから集めてたんだ」

「へー」

 姫佳はそう言って、Uターンし、自分の席へと行った。

「あっ、姫佳、プリントお願い」

 そう言うと、姫佳は無言でプリントを投げつけた。

「もう、投げないでよ」

 そう言いながら、ひらひらと落ちたプリントを、取りに行った。

 姫佳は無言だった。