「これいつも持ち歩いてるの?」

 元基先輩は不思議そうに言った。

「馬鹿。」

 優奈先輩は元基先輩の頭を叩いた。

「朱莉ちゃん?」

 何も言えず、黙っていた私を心配そうに覗き込んだ。

 私は無言でそれを取り出し、教室の前に行き、廊下へと置いた。

 先輩たちは何かを察したのか、何も言わなかった。

 私の鞄を持ち、待っていてくれた。