頭の中が姫佳でいっぱいになっている時、先生が戻ってきた。慌てて下を向き、涙を拭った。

「今から、お母さん迎えに来てくれるみたいよ。」

 よかった。

「そうですか。」

 ホッと安堵のため息が出た。

「あれ?頬どうしたの?血が固まってる。」

 先生は脱脂綿に消毒液をつけ、拭いてくれた。

「もう血は止まってるみたいね。痛くない?」

「はい。」