「何かあった?」

 お湯を入れながら、先生は私に聞いた。

「えっ?」

 思わず先生を見る。その時目が合った。慌てて目を逸らす。

「な、何もないです。体調が悪いだけで。」

「そう。」

 それ以上、先生は何も言わなかった。

「はい、熱いから気をつけてね。」

 湯呑みに入ったお茶を、ぼんやりと見た。