その時だった。

「おーい。西野さんいるー?」

「はっ、はい。」

 名前を呼ばれて、咄嗟に返事をした。

「居た居た。よかった。保健室の渡辺よ。」

 先生だった。ドア越しに話し掛けられ、私は涙を拭いた。

「大丈夫?気持ち悪い?」

 深呼吸をし、呼吸を整える。

「もう、大丈夫です」

 そう言いながら、トイレの水を流し、扉をあけた。