「ひっ、姫佳、あのね、あのっ」

 謝ろうと思ったのに、直接顔を見ると、上手く言葉が出ない。

「あの私・・・」

「私の勝ち」

 姫佳は私の顔を見ながら、口角を上げて言った。

「え・・・」

「ねっ。許されたと思って、のこのこ帰ってきたでしょ?」

「な、なに言ってるの?」

 思わず少し後ろに下がる。私が下がると姫佳は一歩、私へと近寄る。

「朱莉ぃ、いいこと教えてあげる。」

 毛先を人差し指で、くるくるさせながら、ニヤっと笑う。

「私ね、あんたのこと嫌いになっちゃった」

 胸がズキンズキンと痛む。

「理由が知りたい?」

 返事をしたいのに、声が出ない。声の出し方を忘れたかのよう。

「姫佳優しいから教えてあげるねっ」

 そう言って、話し始めた。