少し息がしにくい。足が鉛のよう。

「歩、私やっぱり体調変だから、保健室戻るよ」

「なに言ってんのよー。もうすぐそこなんだから、とりあえず教室入ろうよー」

 そう言うと、私の手をぎゅっと握り、力強く引っ張った。

「あっ、歩、痛いっ」

「あぁ、ごめんごめん。行くよ」

 結局手は離してくれなかった。 

 教室の扉の前に行き、歩が勢いよく扉をあけた。

「たっだいまー。連れて帰ってきたよー」

 そう言って、教室の後ろへと向かう。向かう先には、姫佳を中心に何人かの女子が集まっている場所だった。

「あっ、お疲れ様ー。おかえり」

 誰かがそう言うと、姫佳がすっと前に出てきた。

 いきなり目の前に現れて、私は戸惑い教室に一歩踏み込んだだけで、動けなくなった。