「どうしたの?」

 何事もないふりをした。いつも通りに。

「どうしたのじゃないよ。体調どうかなぁって様子見に来たの。体調悪かったんでしょ?」

「えっ、あぁ。頭とお腹痛くなっちゃってさ。参ったよ」

「もう平気?」

 歩が顔を覗いてきた。

「だいぶ落ち着いたよ」

 嘘。本当はまだ痛い。

 でもそれよりも、今こうして、歩たちと話すことが、1番辛い。

 きっと歩たちは、姫佳が怒ったのを知ってる。そのうえでここに来るってことは、何かあるはず。

「じゃあ、教室行こうよ」

 そう言いながら、歩は私の手をひいた。

「姫佳も待ってるよ」

「えっ」

 思わず驚いてしまった。