じんじんと手が痛む。歩も痛かったようで叩いた右手を、左手で押さえていた。

「二度としないでよね」

 そう言ったあと、小声で「ごめん」と呟いてトイレから出て行った。

「よくやったじゃん」
「あいつどんな感じだった?」
「凄い音だったねー」

 何人もの声が口々に聞こえた。楽しそうに話す内容は異常で、耳を塞ぎたくなるような内容だった。もう教室に戻る気にもなれなかった。

「・・・ははっ」

 学校って何?友達って何?何で私がこんな思いをしなくちゃいけないの?どうしてどうしてどうして?頭を抱え込みながら、便器に座り、授業開始のチャイムを聞いた。