「これ・・・」

 優奈先輩が渡してくれたアドレスと番号だった。すっかり忘れていた。

キーンコーン

 チャイムが鳴り始め、もう一度紙を二つに折りポケットに戻し急いで教室に戻った。教室に入るとすでに先生が来ていた。

「西野さん、次遅れたら後ろに立ってもらいますよ」

「はい、すみません」

 小さく謝り、素早く自分の席に座った。その時だった。鋭い痛みが太ももに突き刺さり、思わず右足を浮かせた。

「っう」

 恐る恐る太ももの痛みの箇所に手を当てると、何かが刺さっていた。ゆっくりと痛みを堪えながら抜き目をやると、痛みの元は画鋲だった。