「思い当たることはある?」

「いえ、特にはないです」

 精神的なもの。それはわかっている。でも言わないし言いたくない。言葉にすると涙が出そうだから。

「少し休む?シーツ変えたばかりだから気持ちいいと思うよ」

 そう言いながら、座っている私と同じ目線になるよう、先生はしゃがみ込んだ。

「どうする?」

「・・・どうしよう」

 私は悩んだ。いや、悩んだふりだった。本当は今すぐにでも学校から出たかった。でも言い出せなかった。

「この時間休んで様子見て、次の時間にも治らなかったら、家に帰る?」

「あっ、はい。そうします」

 先生は、ふふっと笑った。

「さっきの子たちさ、よく保健室来るのよ」

 先生は枕を取り出し、掛け布団の準備を始めながら、話し始めた。