ほっと一息がつけるのは、授業中の間だけだった。先生の授業がこんなに嬉しいと思ったのは初めてかもしれない。時折近くで受け渡しされている手紙が気になる以外何も思うことはなかった。

 授業が終わるにつれて、時計を見るたびに心臓が痛くなった。動悸が激しくなるのが分かる。どんなに時間が止まって欲しいと願っても、時間が止まってくれるはずもなく私の気持ちとは裏腹に、チャイムが鳴り響いた。

 近寄られたくない一心で、教科書を机の中にしまって早足で教室を出た。