病院に着き、待ち合い室に入り座った。お母さんが受付で名前を書いていた。

 少しでも具合の悪い風にしなければ・・・。

「はい、熱測りなさい」

 そう言ってお母さんは体温計を渡してきた。

「熱はないってば」

「いいから。一応測っておくべきでしょ」

 しぶしぶ脇に挟んだ。どうせなら少しでも熱が上がるようにと脇に力をこめて、体温を上げようとしてみた。

「何?どうしたの、赤い顔して」

「ううん」

 つい力を入れすぎた。