「ねぇってば」

 そう言って、姫佳の肩に少し触れたその瞬間。

「触んないでよ」

 今まで無言だった姫佳が、私の手を勢いよく振り払った。

「・・・姫佳」

 立ちすくむ私の前に、手鏡をおいた姫佳は立ち上がった。

「汚ーい消しゴムのカスを持った手で、私を触らないでくれる?というか、もう話しかけないで」

 頭を鈍器で殴られたような痛みが走った。

「・・・っ」

 なんでとも聞けず、一言も何も言えないまま、私は黙って自分の席へと戻った。

 姫佳は「あーゆーみー」と言いながら、歩たちの元へ行った。

 ズキンッ、ズキンッ。