ところで。
「ねぇ、美術部員って……二人だけ?」
「あぁ、あと一人は居るよ、男子が。」
「ふーん。じゃあ3人?」
「うん………今は、ね。」
その曖昧な言葉に少し疑問を持ったけど
空野くんの、どこか切なそう横顔を見て、あえて触れない事にした。
「そっかぁー……じゃあ、私、入っちゃおうかな~……なんちゃっ…」
「ホント!?」
「へっ!?いや、今のはジョークと言うか、冗談でし…」
「緑さんが入ってくれるなんて、夢みたいだっ」
「じゃっじゃなくて!なんとなくなだけ…」
「柊先輩、やりますね!!」
「えっ」
「そうかな!?あ~本当にありがとう、緑さん!」
うっわぁー……
なんて断りにくい状況なんだろう。
って言うか、私も私だ。なんで、入ろうかなんて口走っちゃったの!?
………だって。
仕方ないじゃんか、空野くん。
そんな何かを思い出すような君の目を見てると
自然に口が開いたんだから。
いつの間にか、心がギュッって締め付けられたんだから。