――――翌日――――
「あはは。それは大変だったねー」
「ちょっと玲羅!他人事みたいにー……」
「だってホントに他人事だし」
「……きっつー」
オレンジ色の刺繍で荒谷玲羅(あらたに・れいら)と書かれた制服を、少し派手目に着こなす、相談相手。
「ま、空野と仲良くなりゃ良いじゃん」
「え、仲良く……?」
「でも緑みたいな可愛い子なら、もっとイケテる男子が良いのかな」
「いやいや、意味分からないんだけ…」
「ただの茶髪メガネだからね~。女子にはキモがられてる時期もあったし」
「えっそうなの?」
「あれれ。緑は、あーゆーヤツがタイプなの?」
「別にタイプとかじゃなくてさ。外見はどうか分からないけど、優しいのは確かだから」
「あぁー。けど優しすぎる男って正直、重いよね。」
……やっぱり私って皆と恋愛観がズレてる?
美術部への断り方を相談していた筈が、周りに聞こえたらヤバいほどのガールズトークになってるではないか。