少しの間、彼に見とれた

奇麗な澄んだ瞳をまっすぐとこちらへ向ける彼に

私ははっとして、何かを言わなければならないと焦る

いつまで彼と見つめあってるつもりなんだろう、私は


「ぁ、ぇっと」


私が口をぱくぱくと動かして目線をそらすと、彼はくすりと笑った


「こんにちわ」


「ぁ、こんにちわ」


目を細めて名前も知らない彼はまた無邪気そうに笑った

そして自分のすぐ隣をとんとん、と叩く


「ここ、どうぞ?」


私は一瞬きょとんとしてしまった

緊張して頭が働かない

彼が小首を傾げたのが見えて、私は慌てて彼の隣に座った


「...ありがとう」


とりあえず、お礼を言う

何に対してのお礼かは自分でもよく分からなかったけれど、とりあえず言う

するとまた彼は笑う


「どういたしまして?」


人懐っこい笑顔で、優しい笑顔で、君は笑う

何故だか、彼と仲良くなりたいと思う私がいた