「やっと、ついたぁ..」


屋上へでる扉を開けながら、少し荒くなった息を整える

それと同時に、外の良い空気が肺に流れ込んでくる


「やっぱり、気持ちいい...」


私はいつも腰かけるベンチに向かって足を進めようとした


「...あれ?」


そこには先客がいた

いつも私が座るその定位置に


その人は男性だと思う

髪は女の子にしては短すぎるし

何より女の子は、あんなに足を開いて座らないか


私はそのベンチに座ることをあきらめ、隣のベンチに腰かけた

その人は私に気付いたのか、顔をこちらに向けた


「...ぁ」


小さく呟いてしまった私の声は、誰の耳にも入らずに空気となって消えた

その人は正真正銘の男の子だった

私と同じか、もっと年上の人だと思う

色素の薄い薄茶色の髪が風に弄ばれている