「な、なな何、これ!!」


私は彼に借りた本を指さして、さっきよりも小さな声で叫ぶ

なぜかまた笑う和也くん

笑い事じゃないのに!

っていうか、この本はもう和也くん呼んだんだよね?

なのになんでこういう本を私に渡しちゃうかな!?


「なんでそんなに慌ててるの」


「望月くんこそ、なんでそんなに冷静なの!」


だってだって、この本、


「最後男の子同士でつ、付き合っちゃって..!!」


「あぁ、うん。でも付き合うだけでしょ?」


だけって和也くん、そこは問題だよ!!

...あれ?

望月くんこんなに冷静にこれを理解してるってことはもしかして、


「望月くん!!」


「ぇ?」


私は言った、恥ずかしさを我慢して


「和也くんも、..その、おおお男の子と付き合ってたりするの?」


「.....」


「.....」


沈黙

あ、あれ?

和也くんがフリーズしてる


「...、っふ」


「ちょ、ちょっと和也くん!」


いきなり笑いだした望月くん

え?嘘!まさか本当に?

くすくすと笑う望月くんをじとっとみていると、意地悪そうに口が弧を描いた

そして彼は


「当り前じゃん、そんなの普通だよ」


なんて答えて見せた

え、嘘だ!!

私が入院している間にこんなに世の中が変わってただなんて!!


「ごめんごめん、そんな訳ないじゃん」


「だ、だよね。よかった」


本当に良かった

本当に信じそうになっていた自分を馬鹿だなぁ、と思いながら、

じゃあこの本は本当に何?

という考えにいたった