「え?彼氏じゃないの?」
あたしのその言葉にお姉ちゃんはびっくりしたように聞き返した。
「うん。違うよ」
なぁんだー違うんだ。って残念そうなお姉ちゃん。
でもなにを思いついたのか、すぐ笑顔になったお姉ちゃんはあたしに顔を向けてきた。
「あ。でも、彼氏じゃなくても梨子の好きな人でしょ?」
「え!?それも違うよ!」
びっくりした!
お姉ちゃんったら何を言いだすんだろう。
あたしが桜井くんを好き?……なんてそんなことないのに。
もう。
お姉ちゃんの発言には驚かされるよ。
だけど……。
「じゃあ、あの子が梨子のこと好きなのかな?じゃなきゃ家まで送ったりしないもんね」
なんてお姉ちゃんの独り言なのかなんなのか、そんな言葉を残したままこの部屋を去って行った。
でも、あたしはドアを見つめながら呆然としていた。
お姉ちゃんの最後の言葉が頭の中でずっと繰り返されているのを感じながら───。