包丁だ・・・。  

血の気がさあっと引いていく気がした。 

奴は包丁を俺に

ーいや正確には美幸に振りかざして暴れていた。 

俺は必死に彼女を守ったが、

いつか刺されてしまうのではないかと 

ヒヤヒヤして気が気でなかった。

自分が火事に巻き込まれているという状況で

こんなことを考えているなんて、奴は完全に狂っていた。



そうこうしている間に火はレストランの真ん中あたりまでせまってきていた。

消防車が来るにはまだ時間がある。