「愛美菜はさ、理想が高いんだよ」
「そんなことない。めっちゃ低いよ」
「じゃあ、理想あげてみ?」
「んー…タバコ吸わない、安定収入ある、何でも食べてくれる。あとはフィーリング」
「タバコ吸わないは意外とハードル上がるからなぁ」

今日の愛美菜の話相手は
中学校の頃からの"親友"の1人
山岡 紗百合(やまおか さゆり)
お互い社会人になり、
なかなか予定が合わなくなったが
久しぶりに休みが取れたので
オシャレなイタリアンカフェでランチ中

「私は綺麗な空気で生活したいの」
「仙人か!!…まぁね、タバコ値上がってるしねー」
「百害あって一利なしよ。でもさ、これだけだよ?」
「いや、それはない」
「何でよ?」
「多少外見の好みあるっしょ、無いとはいわせないから」

そりゃぁ、まぁもちろん
最低限のボーダーラインはあるけれど

「爽やか系」
「あー、好きそう」
「そーゆー紗百合はどーなのよ!」
「あたし?ビジュアル系」

紗百合は完璧見た目重視で
とにかく顔が良ければ良いらしい
まさしく十人十色だわ

「そういえばそうだった」
「中身はさておき人はまず外見でしょ」
「いやいや、中身でしょ」

男のタイプはもちろんだが
趣味や性格も共通の少ない2人だけど
かれこれ10年来の付き合いだ

「男関係で揉めないのは良いけどアドバイスはし合えないよね、あたし達」
「間違いない、けど違うから話せるんだよねー」

話は尽きないが
そろそろ食事に手を着けなければ
危うくランチタイムが終わる勢いだ

それからしばらく
2人は食べることに集中した