音楽室へ移動する途中で、追い抜かす陸が私の髪に触れた。 「泣くなよ~!」 そう言いながら、龍之介と2人で走り出した。 音楽室は、実習の間、一度も入ったことがなかった。 自分が高校生だった頃を思い出し、懐かしく音楽室を見渡した。 壁には、作曲家の肖像画が並んでいた。 夜になると目が動くと言って友達と怖がっていたことを思い出す。 何も変わっていない。 ここに通う生徒が変わっても、この場所は何も変わらないんだ。