どうしてお父さんがいないんだろうって思った。
お葬式で、お父さんが死んだことはわかっていたし、
お父さんが骨になってしまったことも実際に目にして、理解していたつもりだった。
でも、お父さんがここにいないことが理解できないんだ。
いつも私達を守ってくれていたお父さんがどうしていないの?
「お父さんは?」
そんな質問をお母さんにしちゃったことも覚えている。
「お父さんはお空からずっとまこを見てくれているんだよ。まこの心の中にもいる。お父さんはいつも一番近くにいるんだよ。ほら、ここに。」
そう言って、私の胸にお母さんは手を当てた。
その言葉を今も信じてる。
このお墓の前で、空を見上げたあの日の気持ち。
空いっぱいにお父さんの笑顔があった。
目を閉じると、そこにもお父さんがいた。
「お母さん、お父さんいっぱいだね。」
その私の言葉に、親戚やお父さんの職場の人々が涙を流していた。