その週の土曜日、お父さんのお墓参りに行くことにした。
たった一人で向かう。
ずっと、授業のMDを聞きながら電車に揺られていた。
でも、MDの中身なんて全然頭に入らなかった。
できるだけ、陸のこと考えないようにと思えば思うほど、考えてしまう。
時折、冷たいレナの目が脳裏をよぎる。
家からちょうど1時間程の場所にある墓地。
高台にあるお父さんのお墓は、
いつ来ても気持ちの良い風が吹く。
見晴らしの良いその場所から、小さく見える街を眺めるのが好きだった。
初めてお墓参りに来たときの事を、思い出す。
まるで昨日のように鮮明に思い出すことができる。