「まこたん、目はれてるよ~どした??」
心配そうに龍之介が私の席に近寄る。
レナはチラっとこっちを見て、そのまま表情を変えずに前を向いた。
授業中、手紙が回ってきた。
高校時代の手紙回しを思い出す。
『まこたん、かんざきのことスキだったりする?』
レナからだった。
とうとうこの時が来た。
泣いていたことを知って、勘付いたのか、もっと前から気付いていたのか。
気づいていて、わざと私に陸のことを相談していたとしたら、私は完敗だ。
いい先生ぶって、最低だって思われるね。
『そんなことナイ』
それだけ書いて返事を回した。
本当は正直に言いたかった。
でも、どうしてもできなかった。
もう、陸をあきらめよう…
そう決めて、その手紙を回した。
その日、レナはそれっきり私の方を見ようともしなかった。