「城山先生、授業続けてください。」



龍之介が小さく、でもとても強い口調でそう言った。

陸の家庭のこと、きっと知ってるんだ。


龍之介の顔も怒りで赤く、少し震えていた。



「姉ちゃんはまだあの店にいるのか?」


やめて!!と叫びそうになった。



クラスの誰もがうつむいて、ただこの苦痛な時間を耐えていた。


城山の話を聞きたい生徒は誰もいない。


みんなの背中が、辛そうで…


陸の横顔が悲しそうで…


私…もう我慢できない。



「先生、もうやめてください。」



できるだけ落ち着こうと努力しながら、立ち上がった。



でも、私の声も手も震えていて、頭にのぼった血が顔を赤くさせているだろう。




「あぁ、君か。もう神崎に取り込まれたんですか?神崎は里中先生にも手を出してるからな。」


何を訳のわからないことを言ってるんだろう。

この人は謝ることを知らない。

空気を読むこともできない。

追い込まれれば追い込まれるほどに、深みにはまっていくタイプだ。