■見下し

次の日の帰り
奈穂は教科書を持って早速アパートにやってきた

『どこから始めます?』
『どこでもいいよ』
『じゃあ… 基礎からいきますね!』

俺は笑いを堪えるのに必死だった
「嫌い」とは言ったが「苦手」じゃない

しかし上位に立つ奈穂も中々、可愛いじゃないか…


奈穂が問題を出し俺が答えていく
一問一答がしばらく続く

『英語、できるじゃないですか!』

しばらくして奈穂は不満げに言った

『うん』

今更、気付いたか…

『じゃあ理香に「嫌い」って言ってたのは…』
『奈穂… doesn't actとnot possibleは違うからね?』
『え…?』

『やらない(doesn't act)と出来ない(not possible)は違うって言ったの!』
『…』

俺の言葉に頬を膨らまし、睨む奈穂
温厚な奈穂でも流石に怒ったかな?

『何、不機嫌そうにしてんの?』
『だって… 洋くんはいつも私を下に見てるじゃないですかッ…』
『は?』

下に見てるって…
確かに上には見てないけど…

『見下されてばっかなのは嫌です…』

今にも泣き出しそうな奈穂に俺は言葉を詰まらせた