■満たされない

《ギッ ギシッ…》

『ッあ…ッ…もっとぉッ』

何やってんだろ…

『真…中ッ…イキそう…ぁッ…!』

何だか変な気分…
体と心が別の人間のように違う行動をしてる

俺、セックスがしたいわけじゃない
それなのに機械的に作業を熟す体…

指示してるのは、どの器官?




夜明けと同時、アカリを残してホテルを出る

家に帰るとキッチンの机の上に封筒があった
中には1万円札が20枚…

家賃、光熱費、食費、学費
後は俺のお小遣…

恐らく昨晩、父さんが置いていったんだろう

1人で暮らしていくのに十分すぎる金額
事実、毎月お金は余ってる

『馬―…鹿…』

でも足りない
こんなんじゃ満たされない

俺、金が欲しいんじゃないよ…?




学校へは少し遅刻して登校…
すると何故か昇降口で神妙な面持ちの奈穂が待っていた

『…何?』
『あ… まだ体調が治ってないのかな、と心配してました…』

いらつく…
余計なお世話…

『昨日は遅くまで遊んでたから寝坊だよ』
『そ、そうなんですか…』

自分だって直樹といたんだろ?
遊んだんだろ?

妙に苛立って、奈穂を下駄箱に押し付ける
そして軽くキスをした

少し八つ当たりも含んでるキス…

『…ん…?』
『え…?』

しかし意外にも俺の心は小さな満足感を得た

満たされて…る…?

『奈穂、足開いて?』
『え…ッ?!』

恥ずかしがって逆に足を閉じる奈穂の足に自分の足を割り入れる

そして下着の横から胎内へと手を忍ばせてもらった

狭い…
まだ処女か…

確認が終わると、指を抜いて抱きしめる

『な、何なんですか?!』
『確認…』

誰にも奪われていなかった事への安心感
そして緊張の糸が切れた脱力感

俺、奈穂といると少し忙しいよ…