■理解不能

《〜♪〜♪》

突然、鳴った奈穂の携帯…

別に深い意味なんて無かったが、少しだけ覗かせてもらった

一瞬だけ見えた相手の名前…
それは「直樹」だった


『もしもし?』

奈穂は俺の前に関わらず、いつもと変わらない様子で電話をとる

『今日の7時? 大丈夫だよ!』

敬語じゃない奈穂の話し方…
俺が聞くのは初めてだった

何だか約束をしているようだった



気になる…
気になるが…
そんな自分を見せたくない

『…7時に出かけるの?』

しかし、確かめずにはいられなかった

『あ、はい 家族と』

予想外な事に奈穂は笑顔で答える

『あっそ…』

嘘をつかれた事に無性に腹が立って、奈穂の体を折ってやるつもりで抱きしめた

『まッ 真中くん?!』

しかし簡単に折れるわけもなく…
仕方なく代わりに首筋に軽く吸い付いておいた

唇が離れた時、奈穂の首筋には小さなピンク色の痕が…

『な、何ですか?!』
『別に…』

好きなだけ直樹と遊ぶがいい
そして嫌われてしまえ

他の男の印を着けた汚い女だと罵られてしまえ


どうして自分がそんな馬鹿な事を思うのか…
いつまでも理解出来なかった