■行きたい所

真っ暗な部屋の中

単なる夢かも知れないが、海を見た

真っ赤な電車に乗って都会を外れ
海の見える駅で降りる

「山と海との夢の町」

目の前にはそんな風景が広がった









『ん…』

午前2時…
寝たのか寝てないのか
それすら解らないほど浅い眠りから覚める

隣では奈穂が気持ち良さそうに丸くなって眠っていた


『また裸で寝て… 風邪引くよ…?』

俺は奈穂を抱きしめるように布団で包むと、服を着た


【徐々に思い出して】

奈穂は俺にそう言った
俺が消えないように、無理をしないようにと…


『ごめんね…?』

俺、どうしても行きたい
行きたい所がある


もしそれで消えてしまったとしても、きっとまた奈穂を好きになる
それは約束するよ…


『じゃあ… 行くね…?』

静かに寝息を起てる奈穂に、優しいキスを落とし…
俺は家を後にした