■意地悪

【いつも窓の外見てたよ】

理香…
俺、本当に嫉妬心や独占欲なんて無かったんだ

あの窓の外に彼女と他の男が映っても「やっぱりね」しか思わなかった

『奈穂… 愛してる…』

奈穂で全てを知った

『洋…ッ あ…たしもっ…好き…』

行き場のない震えた手は俺の頭を抱きしめる


夢か現(ウツツ)か…
俺の頭の中に「何か」が少しずつ増えていく…


もっと…
もっと奈穂でいっぱいになりたい




『奈穂… 俺、もう入りたい…』
『う…ん 私も欲しい…』

奈穂の言葉に俺は一度、手を離し奈穂の体を起こす

『奈穂が着けて?』
『え…?』

不思議そうに顔を上げる奈穂
そんな奈穂の掌に小さな袋を乗せる

『これって…』
『うん… ゴム着けて?』

そう言った俺に奈穂は苦笑で返す

もちろん着けた事も触った事もない事は承知…

『早く着けないと萎えるんだけど…』
『う、うん…』

だけど少し、奈穂を虐めてしまいたかった


奈穂は袋を破ると中身を慎重に取り出す

『し…失礼します…』

そして顔を真っ赤にしながら、そっと俺のモノに触れる

緊張のしずぎだろうか…
手が震えて上手くいかないらしい

ついに俺は笑いを堪える事が出来ず、思い切り吹き出してしまった

『あはははは! 冗談のつもりなんだけどッ…!』
『…えぇ?!』

大笑いする俺に奈穂は頬を膨らませる

『だって着けようとしてくれるなんて思わなかったし!』
『もうッ 大嫌い!』

意地悪の仕返しにペチンと軽く額を叩く奈穂

『…俺は大好きだけど…?』
『馬鹿…』

唇を重ね…
奈穂の体をそっと胸の中に閉じ込めた…