■体調不良
○Side 奈穂

白と黒を基調としたシンプルな部屋
薄いレースのカーテンからは、朝日が眩しいほどに差し込む

『ん…』

目を覚ませばそこに貴方がいる



『ひっくしゅ…ッ』

10月といえども、朝は冬並に寒い

私はベッドの下に丸まった彼のパジャマを拾うと、それを自分の腕に通した


『はよ… 何時?』

少し間を置いて、洋が目を覚ました

『6時… コーヒーでも沸かす?』
『ん… どっちでも…』

返答をいただき、急いでズボンも足に通す
その後でキッチンへ向かった



洋の記憶が無くなってから、早くも半月が経つ

何も思い出した事もないけど、特に困った事もない
相変わらず…という言葉が当てはままる



『そういや、クシャミしてなかった?』

ようやく起きてきた洋はコーヒーを一口飲んで言った

『風邪…かなぁ…』

そういえば喉の調子も悪い

『裸で寝てるからじゃない?』
『な…ッ』

あまりにも率直な意見に返す言葉を失ってしまう

そんな私に洋は意地悪な笑みを見せた










『奈穂、風邪?』

学校に来てから何度も咳やクシャミを繰り返す私に理香が声を掛ける

『夜に薄着してたから…』

少しごまかしながら原因を話すと理香は納得したのか、何度も頷いていた


熱は微熱程度、少し吐き気がするだけで授業に支障はない

薬さえ飲んでいればすぐに治るだろう

そう思い、大して気にはしていなかった