■願い

折れそうなほど細い肩
サラサラの長い髪

触れた記憶はなくても、初めて抱いた感じはしない

きっと俺は何度も抱いているんだろう…


『あ…ッ 洋く…ん…!』

この声も聞いた事がある

『洋くッ 好き…だよ…?』

奈穂は覆いかぶさる俺にそっと腕を回す

『…俺も…嫌いじゃない…』
『え…?』

俺の言葉に奈穂ら真っ赤になり、嬉しそうに笑う

馬鹿だな…
「好き」って言ったわけじゃないのに

『奈穂…可愛いー…』

もっとその顔を見せて…?








『…名前…知ってたんだぁ…』

腕枕にちょこんと頭を乗せ、嬉しそうに笑う奈穂

『あんたの友達に聞いたから… 呼んじゃ悪い?』
『ううん… 嬉しい…』

本当に嬉しそうな表情が可愛くて俺はギュッと体を抱き寄せた

『…洋…』
『んあ?』
『洋くんじゃなくて洋… 駄目かな…?』

奈穂は少し照れ臭そうに言う

『いいよ… 何でも…』
『本当?』
『本当…』

喜びの表れか奈穂は何度も「本当?」と聞き、俺の上にのしかかる

『…重い』
『女の子にそんな事言わないの!』
『嘘だよ、軽すぎるからもっと食べろよ?』
『…うん!』

可愛い可愛い奈穂…

『洋…大好きだよ…?』

ますます「洋くん」に返したくないよ
ずっと傍に置いておきたい






永い夜が明け、朝が来る

『洋、おはよー』
『ん… おはよ、奈穂…』

こんな幸せがずっと続きますように…
それだけを今、願う