■罪の重さ

卒業式まであと6日

『おはよっ、真中♪』

綾は満面の笑みで待ち合わせの場所に現れる

『おはよ』

俺も笑顔で応え、手を握った

『久しぶりだねっ! 手を繋ぐの!』
『そうだっけ?』
『そうだよ! 綾、真中の浮気の事は怒らないよ? 戻ってきてくれたもん♪』

綾は嬉しそうにに笑うとギュッと手に力を加える



学校に着くと皆の注目の的
それでも俺達は手を繋いだままだった

『洋は最低だよ!!』

休み時間には理香が怒鳴り込んで来た

『そりゃどーも… 奈穂は元気?』

平然と返す俺に、理香は殴り掛かろうと身を乗り出す
それを和之が止めた

『奈穂がッ…元気なわけないでしょ?! あんた何考えてんの?!』
『…さぁ…』

理香は肩を震わせ溜まった涙を腕で拭うと、教室を飛び出していった


『洋… 本当に相模の事やめたんか?』

その後で和之が不安げに呟く

『…俺が奈穂を嫌う理由があると思う?』
『…ないと思う』
『和之がそう言ってくれるだけで俺は安心だよ』
『洋…』

嫌いになるわけがない
でも今、奈穂を守るためには方法がない

【戻ってきてくれたもん】

ね、綾…
綾がそこまで想ってくれてたなんて嬉しいよ

でも狙いを俺じゃなく、奈穂に絞った罪は重い