■嫌わないで

綾を屋上に残し、裏庭に向かう
裏庭には信じがたい光景があった

『お宅ら面白い遊びしてんねぇ?』

今までにこれほど怒った事はないだろう

喧嘩を売られたって買ったりした事は、あまりなかった
別に腹が立ったりしなかったから…

『おッ おい、行くぞ!』

男達はお互いの手を支えにして猛スピードで逃げていった

『てめぇ…ッ』

それを追い掛けようとした時、小さな震える手が俺のズボンを掴んだ

『…わないで…ッ』

ボロボロと溢れる涙を見たら急に罪悪感が込み上がり…
隠すように抱きしめる

『嫌わ…ないでください…ッ…』
『ごめん… ごめんね…』

今まで自分のした事の罪が奈穂にいくなんて…

ごめん
想像もしなかった

『俺の事…嫌わないで…』

奈穂のためなら何でもするから
どんな罪も犯すから

嫌わないで

『洋く…ッ 私置いて帰って…?』
『奈穂…?』

奈穂は息を乱し目を潤ませる…
おかしい…

真っ赤に染まる頬に手を添え、奈穂の顔を上げた

『また熱あんのか?』
『ん…ッ』
『まさか… 何か食わされた?!』
『…ッ もう帰ってよ…ぉ!』

不謹慎ながら、涙を零す奈穂を愛おしく思い強く抱きしめる

『大丈夫… どんな姿でも俺は好きだから…』

それは自信を持って言えるよ…