曲がり角に人影が見えて急いでブレーキをかけた。 あ…危ない。 相手もびっくりしたみたいで止まっている。 「…先輩?」 「オーカちゃん。」 朱月先輩は文庫本を読みながら歩いていたみたいで、それを閉じた。 私も自転車を下りて、歩道を二人で並んで歩く。 聖を知っていて、家の事情を知っている、屋敷の住人じゃない先輩は、全て条件に当てはまって、私は全部を言った。 誰にも、百合ちゃんや東仲さんにも言えなかったことを。